禅語とは、禅宗の文献に出てくる祖師方の言葉です。

短い一句の中に先人たちの禅の心や悟りの境地が込められています。

禅語と聞くと難しいと思われがちですが、理解しがたいものばかりではなく日常的に使われている熟語もありますので、
ぜひここを訪ねた機会に禅語に触れてみてはいかがでしょうか。



【玄関 げんかん】    




 
 みなさんは自宅に入るときにどこから入りますか。多くの人は玄関からだと思います。
この「玄関」という言葉、実は仏教(禅)から来た言葉なのです。


仏教語大辞典によりますと、玄関とは

・奥深い仏道への入り口。
・禅門に入ること。
・禅寺の入口。
・普通の家にある正面の入口。

などとあります。最後の「普通の家にある正面の入口」は現代での意味です。最初
の 「奥深い仏道への入り口」は禅の書である碧巌録に記されています。


 もともと玄関は禅宗の寺院にしかなかったものです。そして「玄関」とは奥深い悟りの
境地に入る入口(関門)という意味でした。禅宗の寺院では「ここは厳しい修行道場
ですよ!」とわかるように入口に「玄関」の文字を掲げていたそうです。その「玄関」と
い う言葉が一般的な家屋にも取り入れられ、家屋への入口を玄関と言うようになった
と 言われています。


 つまり、

   「 玄関に入る = 修行の道に入る 」

 という意味だったのです。みなさんの自宅にも玄関があるとおもいます。玄関がある
と いうことは、自宅も修行道場と言うことができます。いつでも玄関から自宅に入る人
は、いつでも仏道を知るための入り口があり修行を始めることができるということです。



【挨拶  あいさつ】    


 
 毎日している挨拶という言葉も実は、禅宗の言葉だったのです。
 辞書で「挨拶」を調べてみると
   「人に会ったときや別れるときなどに取り交わす礼にかなった動作や言葉」とあります。


 しかし「挨拶」を「挨」と「拶」の二つの漢字に分解し、それぞれの意味を調べると

「挨」は積極的に前に進むこと
「拶」は相手に切り込んでいく

という意味です。
 
 この二つの漢字を合わせ、禅宗では修行僧が切磋琢磨して修行に励むことをさしていました。それが変化し、相手に問答を仕掛ける禅問答を挨拶と呼ぶようになりました。

 本来の意味を考えれば、日常的な挨拶も気持ちを込めて行い、自分自身を鍛えるための修行と考えていけば毎日の生活も変わってくるかもしれません。

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